令和３年１１月公開　ぼいす宅配便

「秋たけなわ」

紀州路発ぼいす宅配便
この番組は、浄土宗和歌山教区がお届けしています。

「秋たけなわの山門に、響く鉦かねの音いや高く、仏を讃たとう声すなり、南無阿弥陀仏　阿弥陀仏」

　これは、浄土宗吉水流詠唱の十夜和讃の一節です。この時期、いつもと違って、夜の時間に、お寺からお念仏の声が聞こえてくれば、お十夜法要が勤められているのかもしれません。

　和歌山教区の教化ラジオ紀州路発ぼいす宅配便へようこそおいでいただきました。
　秋たけなわですね。『たけなわ？』た・け・な・わ、そうそう、「宴もたけなわでございますが」のたけなわです。
　たけなわ、とは、真っ盛り、最盛期、もっとも盛んな時期ということで、その言葉は、それ以降は衰えに向かうという意味も含んでいます。平家物語に、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰じょうしゃひっすいの理ことわりをあらわす」とあるように、最盛期があれば、それがいつまでも続くことはなく、必ず衰えて行くということです。線グラフで言えば、山の頂点、頂きが、たけなわという事でしょう。
　新型コロナの新規感染者数のグラフを何度も何度も目にしてきました。ようやく第５波も収まろうとしています。10月１日には大都市で続いていた緊急事態宣言が解除されました。夜のニュースでは、待ちに待ったというように、飲食店で、お酒の提供を受けている映像が映し出されていました。ですが、まだまだ油断大敵。やった！解除されたぜ！ウェーイ！では、すぐに第６波ということにもなりかねません。感染予防意識を緩めることなく、日々過ごさなければなりませんね。
　そんな中、皆さまはどのような秋を楽しまれていますでしょうか？食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、それぞれ魅力的な秋ですね。スポーツはするのも、観るのも楽しめます。
　プロ野球はコロナ禍の中、９回の攻防で打ち切り、延長戦をしないという特別ルールでシーズンを戦って来ました。その影響か、同点引き分けの試合が多くなり、マイナス0.5ゲーム差で２位、という珍しい事が起こりました。
　勝ち数から負け数を引いたものを貯金といいますが、その貯金の差を２で割ったものがゲーム差です。マイナス0.5ゲーム差で2位というのは、１位のチームより2位のチームの方が貯金が１つ多い状態です。プロ野球の順位は勝率で決まります。勝率は、勝ち数を試合数で割ったもので、その試合数には勝敗のつかない引き分けの数は含まれません。
　例えば極端な話、100試合戦って、99勝1敗のＡチームと1勝99引き分けのＢチームがあったとします。どちらが優勝だと思いますか？
Ａチームの勝率は99÷100で9割9分
Ｂチームの勝率は１÷１で10割
よってＢチームの優勝となります。99勝つ方が強いのか、１つも負けない方が強いのか？強さとは？　そんな事を考えた阪神タイガースファンの方がいたとかいないとか・・・。
　はてさて、このぼいす宅配便11月号が放送される頃には多分クライマックスシリーズが始まっているでしょう。どのような結果になっているのでしょうか。
　秋たけなわの町中に、お十夜法要の念仏でなく、あちらこちらのお家から『六甲おろし』が聞こえてきているかもしれません。
　どうぞお念仏も、『六甲おろし』も、大きな声が出せる日が訪れていますように。

　それでは今月はこのあたりで。また来月におあいしましょう。
　紀州路発ぼいす宅配便でした。