令和２年６月公開　ぼいす宅配便

「コロナ愚痴」

　この原稿は、ゴールデンウィークの真っただ中の5月4日に書かれたものです。配信日の６月１１日より、１月以上前になります。新型コロナウィルスの流行の為に、外出自粛が求められる異常事態のなか、皆さまはどのように過ごされたのでしょうか？そして今日、緊急事態宣言が５月末日まで延長されましたが、はたして、これをお聴きくださっている頃には解除されているのでしょうか？

　和歌山教区の教化ラジオ 紀州路発ぼいす宅配便へようこそおいで下さいました｡
　和歌山では２月１３日、有田郡湯浅町にある済生会有田病院に勤める医師の新型コロナウイルス感染が初めて確認され、有田地方に衝撃が走りました。当初､政府のPCR検査のガイドラインは､中国に渡航歴のある人､または､感染が確認された濃厚接触者に限るとされ､症状のある人は､４日間の自宅待機､というものでした｡和歌山県の仁坂知事はその指示には従えないと､独自の方法で､コロナ封じ込めに動きました｡済生会有田病院の医師､職員､入院患者474人に加えて､外来患者､濃厚接触者１５４人の検査を実施､県内では賄えない１５０の検体を大阪府に依頼して､感染拡大の防止と封じ込めに取り組みました｡
　この事は『和歌山モデル』として、注目されましたが、仁坂知事がこのように動けたのは、野㞍孝子さんという、県福祉保健部技監の存在が大きかったようです。コロナに関する会見の時に知事の隣におられた女性です。福祉保健部技監として､和歌山で感染者が出た場合に備えておられたのでしょう｡野尻さんは､政府のガイドラインに従っていれば､感染確認が遅れ､感染拡大を防げなかったと振り返っておられます｡
　仁坂知事の言葉です｡

　「どうも政府にたてついたような発言をすると、かっこいいと思われる所が世の中にあって、テレビ局などから、好意的に扱ってくれるのですが、そんな政治的思惑など何の関心もありません。ただただ県民の安全を考えて、その時その時でベストと思われる事を論理的に考えて、県民に丁寧に説明をしながら、皆が力をあわせてスピーディに対応する、ただこれだけのことを今後も続けるだけです。」

　どうですか？当たり前の事を仰っているのでしょうけど、それ以上に感じはしませんか？県民という所を､国民に変えてもう一度読んでみます｡

　「ただただ国民の安全を考えて、その時その時でベストと思われる事を論理的に考えて、国民に丁寧に説明をしながら、皆が力をあわせてスピーディに対応する、ただこれだけのことを今後も続けるだけです。」

　どうでしょうか？ 　今の政府にはこの姿勢が感じられません。何とかしようという必死さが、全く感じられません。国民の安全を真剣に考えていると言えるのでしょうか？先ず、１月下旬の中国での大流行に危機感を抱かなかったのでしょうか？中国の､旧正月の春節による旅行者の消費を期待して､又､習近平国家主席の訪日を重視したため､中国からの入国禁止措置が遅れたのではないかとの見方もあります｡４月１２日､無観客ではありますが､プロ野球が開幕した台湾では、２月上旬に中国からの入国を全面的に禁止しています｡台湾は水際対策に成功したといえるのでしょう｡
　もう一つはオリンピックです｡３月２４日に１年以上の延期が決定されるまで、「オリンピックは予定通り、完全な形で開催します」と言い続けた安倍総理。もし、日本から開催を延期したい、と言えば、莫大な補償金を日本が負担しなければいけない、というような事情があったのかどうか知りませんが、延期が決まると、コロッと手のひらを返したように、コロナ対策を声高に発信する東京都知事。この日を境にコロナ感染判明者数が増加していきます｡
　もし、今年がオリンピックの年でなければ、もし、習近平氏の訪日がなければ、もし、安倍総理が先手先手の対策を執れていれば、コロナで亡くなる方は、もっと少なかったのではないかと悔やまれます。いや､安倍総理１人の問題ではありませんね｡仁坂知事に野尻技監がいるように､リーダーには周りにいる人間が重要です｡

　本堂の阿弥陀様を見てみますと、両脇には観音菩薩と勢至菩薩が安置されています。阿弥陀三尊といい、菩薩様は仏様の教えをひろめ、救済を補佐する役割をもつとされています。補佐とは､そばにいて､その人の務めを助けることです｡観音菩薩も勢至菩薩も､阿弥陀様を助ける以上にそれぞれ信仰されています｡はたして、総理の周りにはどのような補佐役がいるのでしょうか？
　突然､思い付いたような､3月2日からの全国一斉の臨時休校要請｡
　これで安心でしょうと､全世帯へ２枚のマスクの配布｡
　家にいて下さいと､最前線で頑張っているはずの総理のくつろいだ動画｡
　だれが助言したのでしょう？誰も止められなかったのでしょうか？
　国民の反応は予測できたはずです。マスク２枚はエイプリルフールの冗談ではないか？と思った方も多かったはずです。と考えると、大きな失敗を隠すために、小さないたずらを仕掛ける子供のような所業(しょぎょう)に感じませんか？
　マスコミはそれぞれに､大きく反応し､国民の目がそちらに向かいます｡森友問題で自死した財務省職員の遺書が公開され、国民の関心が高まる中、まさかの「一斉休校要請」「マスク２枚の配布」です。
　ある映画で、政権に対する批判が大きくなると、その矛先を変える為、芸能人を逮捕したり、政権批判者のスキャンダルをでっち上げる、という、報道操作を目的とした組織が政府にある、というのを観ました。毒をもって毒を制すという言葉がありますが、もし「マスク２枚の配布」がそれを目的としたものならば、卑劣極まりないし、なければないで、ただのお粗末としかいいようがありません。
　このように感じてしまうのは､国民に丁寧に説明をする､という事が出来ていないからだと思います｡「アベノマスク」を喜んで受け取れるような、そんな説明を期待するのは、無理な話でしょうか？
　少しでも早く､コロナウイルスが､おさまっていく事を祈ります｡

　では、今月はこのあたりで。また来月におあいしましょう。
紀州路発ぼいす宅配便でした。